人材育成コラム

より良い人材を育成し組織を活性化することはすべての企業・組織の永遠のテーマです。本コラムでは人材育成のプロ講師がお役に立つ情報や最新のトレンド等を皆さまに紹介してまいります。「もっとこんなことを知りたい!」といった要望や感想がありましたらご連絡をお待ちしております。

次世代リーダーの育成

新入社員最近、多くの企業の経営者や人事関係者から「次世代リーダー」の育成に関するお問い合わせが多くなっています。それは、実際に取り組みを進めていく中で、「自組織の将来を担う人材が少ない、なかなか育たない」、「組織を牽引する次世代のリーダーが不足している、このままで良いのだろうか」といった課題や問題意識を抱えている企業も少なくないようです。
組織のグローバル展開に伴って、事業の範囲が広がり組織が分散化していく中で、事業や組織を牽引するリーダーの必要性は高まります。しかし、組織や事業を牽引するリーダーの育成は一朝一夕にできるものではありません。事業や組織の成長にリーダーの育成が追いついていない状況か生じている企業が多いのではないでしょうか。実際に状況をお聴きすると、「ラインの抵抗もあってなかなか配置は難しい」、「育成に適したポストが不足している」などといった話もよくうかがいます。リーダーの育成には良質な経験とそこからの学びが重要になりますが、今日の厳しい環境の中で経験を積ませながら育てていくことの難しさに直面しがちなのだと思います。

また、「リーダーが新しいポジションに適応するには、1年3か月~1年半以上の月日とかなりの費用がかかる」という研究結果も出ています。高い職責になればなるほど、より大きな変化とより早期の能力発揮が求められています。ところが、今までのリーダーシップ論には、“適者生存”の発想が根強く存在しています。一方現場では、「生存者」が常に「最適者」であるとは限らないというのも真実でしょう。変化や競争が激しい現在のビジネス環境においては、過去の勝者の資質や積み重ねてきた実績、スキルなどが、そのまま今後も通用する保証はないからです。次世代リーダー候補にあたるミドル層(30〜40歳代の課長・非管理職上位クラス)のマネジメントに関する能力不足も、バブル崩壊後の長期不況による教育投資の減少や人員構成の歪みの“ツケ”として急速に顕在化しています。事業の継続や拡大、世代交代のボトルネックとなっているケースも少なくありません。

新入社員 現場はどのような状況かというと、初めてリーダーの役割を任された方やリーダーになって間もない新任リーダーの声を聞くと、「いきなりリーダーといわれても、周りの人をまとめていく自信がない」「どうやってリーダーシップを発揮すればいいのかわからない」「リーダーに求められる役割や、必要なスキルを知りたい」等々、お悩みは尽きません。
 仕事の進め方も、ただ上から降りてきた目標を達成するためにプロセスを決められた通りにきっちりやるというものではなく、目標の上にある目的を理解しなければいけません。
人間関係も、今までは組織内の上意下達が当たり前でしたが、常に目的に立ち返り上司が間違っているのであれば批判ではなく、提案・相談をすることが大切になります。そして、それを実現するためには、相談できるような人間関係の構築と組織内外のネットワークを持って日頃から働いていることが必要です。

新入社員最近の研究では特定のリーダー1人だけでは課題解決ができないので、メンバーが集合的にチームごとに解決するという議論やこの手法を多用した研修が活発です。リーダーだから・管理者だから自分の言うことを聞けというコントロール型の考え方を改めないと、生産性や効率は向上しません。日本のマネジャーと呼ばれる人たちの中には、未だリーダーシップはコントロールだという発想から抜けられない上司もいます。しかし、現代はアメーバー的にチームを俯瞰しフォロワーの主体性をいかに引き出すかということも重要なリーダーシップです。

最後に、研修現場からの講師の私見を申し上げると、リーダーシップを発揮している組織の受講者達は、任されているという自覚とやり遂げるという責任感を持ち、自主的に考え行動している傾向が強く見られます。このように働き方の変革期に差し掛かっている今こそ働きがいを感じ働き続けてもらうために、次世代リーダーとしての能力開発と育成が重要になっているのではないでしょうか。

講師紹介
鈴木 輝子(すずき てるこ)
株式会社オーラム代表
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